投稿日:2024.07.18 最終更新日:2024.10.23
どうなる塩素系金属加工油
今回のブログでは中鎖塩素化パラフィンと長鎖塩素化パラフィンについて取り上げます。
中鎖塩素化パラフィンは使えなくなるのか?
今、騒がせている中鎖塩素化パラフィン。
そこで、これまでのスケジュールと予測を交えて深堀していきます。
今回、中鎖塩素化パラフィンを焦点としているストックホルム条約について、経済産業省は以下のように説明されています。
ストックホルム条約(以下、POPs条約)とは、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念される残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む産廃物等の適正処理等を規定している条約です。
経済産業省ホームページ POPs条約 参照:POPs条約(METI/経済産業省)
POPs条約の対象物質については残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会議(COP)において決定されます。
条約の加盟国はCOPにおいて決定された内容に基づき、国内の諸法令を改正して規制していかなければなりません。日本も加盟していますので、COPで決定後、国内法を改正する必要があります。
次に、これまでのスケジュールと今後を考えていきます。
<これまで>
2023年4月 | PRTR制度(化学物質排出移動量制度)の対象に。 PRTR制度の説明はこちらのブログにて紹介しています。 |
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2023年10月 | 残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC19)にて一定の使用を適用除外(※1)とした上で、廃絶物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告が決定 参照:ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第19回会合(POPRC19)が開催されました (METI/経済産業省) |
<これからのスケジュール>
2024年9月 | 残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC20) |
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2025年5月 | 締約国会議(COP12) |
今後の予測 -締約国会議(COP12)で決定された場合-
決定から2年以内(2027年5月以内)に国内のPOPs条約に基づく実施計画を改定することになっています。つまり日本国内で使用を禁止・制限されるのは2027年5月以内という見通しが立ちます。
2年以内の間に国内では3省合同会合(厚生労働省・経済産業省・環境省)の審議や各フェーズでのパブリックコメントを経て、改正政令が公布・施行されます。
過去の対象化学物質を見てみると、POPs条約の廃絶物質(附属書A)に追加となった場合、国内の化審法の第一種特定化学物質に指定され、その製造や使用を禁止・制限、輸出入の原則禁止されることが一般的なようです。
また2年以内となっていますが、スピード感は各国で異なります。即刻廃絶したいような物質は1年もかからず改正されてしまう可能性もあります。
現在、中鎖塩素化パラフィンの定義(範囲)の議論は継続中と発表されています。POPs条約では適用除外(※1)を認められていますが代替物質への転換が進められていたり需要など加盟国ごとに状況は異なるため、ストックホルム条約どおりに化審法が変更になるわけではなさそうです。直近だと、COP11にて附属書Aに追加されたUV-328という化学物質は一定の用途は適用除外とすることを認められましたが、日本国内では試験研究用を除いて、適用除外とする用途を設ける必要はないということで進められているようです。
※1 この適用除外は自動車・社会インフラ向け電気電子機器、医療機器に用いる金属加工油剤や修理用部品等のための使用としている(加工プロセスを含む。)
では、全ての塩素系金属加工油がダメになるのか? 次にご紹介します。
全ての塩素系金属加工油がダメではない -次世代塩素系の金属加工油-
金属加工油の塩素系添加剤として用いられている中鎖塩素化パラフィン。
このまま塩素フリーの道しかないのかと問われると、弊社では違います。
長鎖塩素化パラフィンという塩素系極圧剤を使用した金属加工油の開発・製品化し、持続的な供給を行っています。
長鎖塩素化パラフィンは「ストックホルム条約」「GADSL」「REACH規則」「RoHS指令」「化審法・化管法(PRTR制度)」いづれにおいても非該当です。
私たちは皆様が生産性を維持・向上とともに、より安心してお使い頂けるよう、塩素フリーに限らず中鎖塩素化パラフィン代替商品の開発・提案・販売に努めています。ご不明な点がございましたらお問合せください。